ランニングで膝を痛めた人必見!! 理学療法士が勧める膝を痛めない走り方
ランニングは世界で最もポピュラーなスポーツだ。
ランニングランナーの傷害率は高く、その大きな理由が何度も繰り返す床への衝撃である。
そのため、ランナーは膝損傷を起こすことが多い。
走るたびに膝にかかる負荷量は約300kgにもなると言われている。
そこで今回はサンパウロの市立大学のMatheusらの報告をもとに膝の痛みをなくす方法を考えてみよう。
膝への衝撃 大きく2つの接地パターン
何度も繰り返す床への衝撃が膝へ負担をかける理由である。
そしてランナー達の床への衝撃の受け方は大きく2種類に分けられる。
踵から足をつく後足部パターンと、指の付け根当たりで足をつく前足部パターンである。
実は前足部パターンの方が後足部パターンに比べて地面への衝撃力が3倍低い。
後足部パターンで走る人は前足部パターンに切り替えることで膝にかかる負担が減るのだ。
後足部パターンと前足部パターンでは、足をつく時にかかる衝撃が大きく違う。
この衝撃を膝にかかる力で考えてみよう。
Biomechanical Differences of Foot-Strike Patterns During Running: A Systematic Review With Meta-analysisを参考に筆者作成
膝にかかる力は運動学的に考えるとわかりやすい。
まず、膝にかかる負担=床半力(膝にかかる反発力)×モーメントアーム(膝から反発力までの垂直距離)と言われている。
言い換えると、床半力(膝にかかる反発力)とモーメントアーム(膝から反発力までの垂直距離)
のどちらかが増えれば膝にかかる負担が増大するというわけである。
床半力(膝にかかる反発力)というのは、体重や走る速度によって影響する。体重が重たくなれば当然、膝にかかる負担は大きくなるし、走るスピードが早くなっても同様だ。
モーメントアーム(膝から反発力までの垂直距離)が長くなると膝にかかる負担が増えるというのは極端な話だとウサギ飛びがわかりやすい。
ウサギ飛びは膝への負担が強く、近年の小学校では実施を禁止している地域もある。
昔は根性論だと、よくやったものだが。。
これを見ると、モーメントアームがとても長くなることがよくわかる。
本題に戻るが、後足部パターンと前足部パターンにも同じことが起こっている。
写真を見ると前足部パターンはモーメントアームが少し長くなっている。
前足部パターンが膝損傷を減らす大きな理由である。
つまり、膝の痛みを減らせるように走るためには、前足部パターンでゆっくりとしたスピードで走ることだ。
実際に箱根駅伝に出場するほどのトップランナー達は膝の損傷例が少ない。
箱根駅伝を観戦した時も多くの選手が足のつき方が前足部パターンであった。
前足部パターンの走り方を身につけよう
今まで後足部パターンで走っていた方がいきなり前足部パターンでの走り方をイメージするのは難しいものである。
見よう見まねで前足部パターンに切り替えても、つま先から足をつけてしまってはむしろ膝の負担を増やしてしまう。
前足部パターンは指の付け根あたり(母子きゅう)あたりで接地しなければならない。
そこでハエン大学のpedroらは前足部パターンの走り方を手に入れる方法に
裸足ランニングを提唱した。
pedroらは健常成人39人を対象に裸足ランニング群20人とくつを履いてランニング群19人で12週間のトレーニングを実施した。
その結果、裸足トレーニングはこれまで、後足部パターンで走っていた人が前足部パターンに移行することができたと報告している。
近年は裸足でランニングを行うことが注目されており、
アメリカのタフツ大学のkellyらも裸足ランニングすることでランニング障害を予防できることを報告している。
もし裸足ランニングを挑戦する方がいるなら、ケガをしないようにアスファルトの上ではなく、芝生やランニングマシーンの上などで実践することがおすすめだ。
Reference
Matheus O Almeida: Biomechanical Differences of Foot-Strike Patterns During Running: A Systematic Review With Meta-analysis. 2015 Oct;45(10):738-55
Pedro A Latorre-Román: Effects of 12 weeks of barefoot running on foot strike patterns, inversion-eversion and foot rotation in long-distance runners. 2019 Nov;8(6):579-584.
Kelly Murphy:Barefoot running: does it prevent injuries? Sports Med. 2013 Nov;43(11):1131-8.