ランナー必見!! ランニング大好き理学療法士が教える 必ずマラソンが速くなる筋力トレーニング【実践編 】
マラソンのタイムを上げたければ、ランニングエコノミーについて知らなければならない。
今回は前回に続く実践編!
遠心性収縮で行うハムストリングス トレーニング!
ハムストリングスの解剖学
ハムストリングスは下肢の後面に位置しており、股関節と膝関節をまたぐ2関節筋だ。
ハムストリングスの低下は膝の固定性が下がり、ムダなエネルギーを消費しなければならない。その結果ランニングエコノミーが低下し、ランニングタイムの低下を来すことを明らかにした。
前回の記事ではここまでの内容を話した。
本日は遠心性収縮でハムストリングスを鍛える方法を紹介していく。
遠心性収縮
遠心性収縮というのは筋肉が縮もうとしながら引き伸びていることで、ジャンプをして着地するときの大腿四頭筋はまさにこの遠心性収縮である。
マラソンタイムを上げたければ遠心性収縮でハムストリングスを鍛えなければならないのだ。
絶対に気をつけることは、求心性収縮のハムストリングスのトレーニングをしてもランニングエコノミーの改善は乏しいということだ。
遠心性収縮と求心性収縮の違いについては前回の記事をご参照いただきたい。
求心性収縮のハムストリングスのトレーニングはyoutubeでたくさん紹介されている。
レッグカールや、仰向けでブリッジする方法は求心性収縮に当てはまる。
もちろん筋肥大はするだろうが、マラソンでタイムを上げる方にとっては筋肥大は望ましくない。
今回は遠心性収縮でのトレーニング方法を紹介していく。
①ノルディックハムストリングス
最も代表的な遠心性収縮を用いたハムストリングスのトレーニング方法がこれだ。
ノルディックハムストリングスといい、世界中のトップアスリートに使用されている方法だ。
膝立ち位から足部を固定し、そのまま身体を床につけていく。
これを往復していくわけだが、この往復速度が速いほどトレーニング効果が高い。
世界のトップアスリートに説明するのであればここまでで十分。
しかしながら正直私のような趣味でランニングをしているものにとって、この運動はかなりきつい。一度やっただけで足がつりそうだ。
もう少し、負担の少ない方法も紹介していこう。
②うつ伏せ膝伸ばし
重錘(1kg〜)を足に巻きうつ伏せでゆっくりと膝を伸ばす方法だ。
重錘のせいで勝手に膝が伸びてしまうところを、ゆっくりとしたスピードで制御しながら行うことができれば正しく遠心性にハムストリングスを鍛えることができている。
重錘の重さも軽いものか重たいもの(500g〜5kg)まで調節でき、簡単にネットで購入できるのでオススメだ。
実はこれらの遠心性にハムストリングスを鍛えることはランニングエコノミーの向上に加えてさらに我々にとって有益なことがある。
遠心性収縮を使いながらハムストリングスを鍛えると傷害リスクが5倍下がる!!
実は筋肉を伸ばしながら行う遠心性収縮はとてつもなく筋肉への負担が大きい。
ランニング中に起こるハムストリングスの肉離れを起こす原因のほとんどが遠心性収縮を行った時とも言われている。
2017年のジャマイカ代表のボルトが肉離れを起こしたこともまだ記憶には新しい。
https://www.cnn.co.jp/showbiz/35105685.html
香港中文大学のJustinらは遠心性収縮をおこなったハムストリングスの筋力が低下していると(研究では2.4Nm/kg未満としている) ハムストリングスの傷害が3.14倍増大することがわかった。
さらにJustinらは他にも重要な見解を述べていた。
「傷害予防にはハムストリングスと大腿四頭筋のバランスが重要」
Justinらの研究結果にて
ハムストリングス÷大腿四頭筋の筋力の比率が50.5%を下回ると、
ハムストリングスの傷害する確率は5.6倍高くなることを明らかにしたのだ。
さらにアメリカにあるデューク大学のアダムらは、システマッティックレビューを用いて、遠心性のハムストリングストレーニングが傷害予防への効果を検証した。
*システマッティックレビュー*
複数の専門家や研究者が作成者となって,一定の基準と一定の方法に基づいてとりまとめた総説のことをいい、エビデンスの高い研究である。
この結果ハムストリングスを鍛えることは、ランニングエコノミーを向上するだけでなく、ランナーたちの傷害予防にも大きく寄与することを初めて示したのである。
怪我予防、そしてランニングエコノミーを向上するために遠心性のハムストリングスを鍛えていこう!!
質問などがありましたらTwitterのDMなどで受け付けております!
Reference
1 Justin W Y Lee , Kam-Ming Mok:E ccentric hamstring strength deficit and poor hamstring-to-quadriceps ratio are risk factors for hamstring strain injury in football: A prospective study of 146 professional players. J Sci Med Sport. 2018 Aug;21(8):789-793.
2 Adam P Goode 1 , Michael P Reiman:Eccentric training for prevention of hamstring injuries may depend on intervention compliance: a systematic review and meta-analysis. ports Med
. 2015 Mar;49(6):349-56.