真咲輝司 Rehabiri knock

大学病院で勤務する理学療法士

炎症は負のスパイラルである。

 

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多くの医者は炎症が心疾患と関係があると断言している。Danishらは炎症がうつや気分障害を呈し、さらにガンとも関連があることを発見しました。研究者の中には全ての疾患の根幹には炎症が関係しているとまで言う方もいらっしゃいます。

 

ここまで聞くと、炎症は悪いものだ!ということは何となくわかるものの、一体炎症ってなんのこと!?炎症で何が起こるの!?どうやって防げるの!? 

今回は炎症について考えていきたいと思います。

 

 

 

 

炎症の過程

本来、炎症は感染源などから身を守るために起こる反応です。

例えば、サッカーの試合中に転んで足が腫れ上がったとしましょう。この時身体の中では病原となる外敵を取り除こうと炎症反応が起こります。しかし、ここである懸念が生まれます。

炎症は着火剤のようなものだとSteven Masleyは言います。なぜなら炎症による影響が身体にはっきりと現れるからです。 もし関節に炎症が起これば変形性関節症となり、脳に炎症が起こればアルツハイマー認知症となり、もし動脈に炎症が起これば動脈硬化となりプラークと呼ばれる血栓を作る原因となります。

 

数えだしたらキリがありません。では、どうしたら良いのでしょうか?

 

まずは炎症が起こる原因を認識しましょう。普段の食事の中にも炎症が起こる原因は多く含んでいます。Richard Dianaはタバコやアルコールが炎症の原因となることを報告しています。

 

さらにストレス自体にも炎症を引き起こすということが明らかとなっています。カゼや発熱などにより免疫細胞が感染源を撃退するときだけではありません。嫌なことがあったり、気持ちが重たくなっているときにも炎症は起こりやすい状況となっているのです。

 

よく「心も身体もボロボロ」なんていう表現がありますが、炎症という観点からみれば、ストレスがかかっているとき、実は身体もむしばまれているというわけです。こんな状態がずっと続いていれば、病気にかかっても仕方ありません。

 

これを聞くと驚く方もいるかと思いますが、実は炎症を引き起こす原因はインスリン※と深く関係があるのです。

インスリン・・・膵臓ランゲルハンス島β細胞から分泌されるホルモン。血糖値を下げる唯一のホルモンで、食事を摂った時などの血糖値上昇時に分泌される。

 

Dianaの報告では、インスリンは炎症性ホルモンと言われており、食事をとると血糖値の上昇に合わせて突発的にインスリンが分泌されます。これが炎症を引き起こすというのです。

 

なぜインスリンが炎症を引き起こすのでしょうか?インスリンが細胞と合わさるとき、サイトカインを作ります。このサイトカインが炎症を引き起こすためなのです。自分の身体を守るということはそんなに簡単なことではないのです。

 

炎症を防ぐために。食事と運動について

これまでの話から炎症を防ぐことは困難に感じると思われますが、解決方法もあるようですので、いくつかご紹介させていただきます。

  1. 汗をもっとかく  ロンドン大学の研究員らの報告では、5時間の中等度の運動を1週間に1回程度行うだけでも、炎症マーカーが12%低下するとされています。さらにオハイオ州立大学の研究では乳がん患者を対象に12週間継続的してヨガを実施することで炎症マーカーが20%低下したことを示しています。
  2. 健康的な食事  一般的に血糖値を下げる働きのある食べ物は抗炎症作用があるとされます。なぜかと言うと、血糖値を下げる働きによってインスリンの分泌量を下げることができるからです。サクランボやアブラナ科の野菜、ブロッコリーなどは最適な抗炎症作用のある食べ物とDianaらは報告しています。

 

さらに、Dianaらはサーモンも勧めています。サーモンにはオメガ3脂肪酸が含まれているからです。

 

このような食事生活を行うことで炎症や酸化に対抗する身体を作ることができるようになります。炎症を引き起こす因子は多くありますが、自分の身体は自分で守ることができます。お伝えした方法をもとに健康的な生活を心がけましょう。

 

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